SUMCO公募増資!でも株価そんなに下がっていない?信越化学は?

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記載銘柄:SUMCO <3436>、信越化学 <4063>

SUMCOが公募増資発表

9/30(木)引け後にSUMCOが公募増資の実施を発表しました。発行済み株式を20.6%ほど薄めるという内容です。こうなると1株利益の希薄化懸念で大きく売られる展開が懸念されます。ただし、翌日10/1(金)の株価は-4.4%と希薄化に対して小さな下げ幅で終わりました。これが意味するところや、競合の信越化学について考えてみます。

CONTENTS

 

公募増資の概要

・調達額:最大1279億円
・発行価格決定日:10/12(火)〜10/15(金)までのいずれかの日
・希薄化:20.6%
・使途:工場建屋増設、生産設備投資

半導体不足と方々で言われていますが、半導体製品を作るためのシリコンウェハの需給も相当タイトな様子です。今後さらに半導体製品の生産数量が増えてシリコンウェハ需要も伸びると見て、生産能力増強して対応するとのことです。
世界最大のファウンドリであるTSMCも大掛かりな生産設備投資を計画していますし、今後数年はシリコンウェハの需給がタイトになりそうな気がします。

 

株価チャート

日足でボリンジャーバンド(25日移動平均±3σ)、RSI、ストキャスティクスを示しています。

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希薄化が20.6%と結構なインパクトです。ただし、翌日10/1(金)は前日比7.5%まで下落して8/20(金)に付けた年初来安値2,111円を下回る場面がありましたが、終値は-4.4%の2151円でした。当日は日経平均-681.59円という悲惨な地合いだったことを考えると、むしろ強い値動きだったように思います。

 

設備投資して大丈夫?

設備整った頃に需給緩むのがこれまでのお約束
半導体業界では、需給逼迫して設備投資すると生産体制が整った頃には需給が緩むという流れがお約束のように繰り返されてきました。ただし自動車生産が止まるほどの事態というのは異例で、さすがに今回の需給逼迫は長引くとは思います。ただし半導体の設備投資は、いつも「今回の設備投資は大丈夫」といわれてはピークアウトしてきたような…?

ピークアウトと騒ぐ人達もいそう
ということで、きっと株式市場でも早々にピークアウトと騒ぐ人達が出てくると思います。よく材料にされるのがメモリ価格の上げ止まり・下落です。最近、半導体関連株が軟調なのもメモリ価格の下落が影響していると思います。

ただし、これが需要のピークアウトかというと、とてもそうは考えられません。

先日、米国マイクロンテクノロジの決算がありました。そこでは現状メモリ価格が下がっているのは、半導体不足でPCなどが作れずにメモリ在庫がダブつき始めたためとコメントしています。要はメモリ需要は先送りされているだけの状態です。下記過去記事の「今後の動向を探る」項目で推定した通りの展開のようです。

ynark.hatenablog.com

 

約束された5年先の価格と数量
SUMCOの橋本会長は「顧客との5年契約で価格も数量も決まっている」とコメントされています。生産設備が整ったころにはウェハが売れないというリスクは少なそうです。5年というと長く感じますが、車載用半導体などは10年ほど仕様変更せずに生産しますし、自動車メーカーも今回の半導体不足で在庫を積むでしょうから妥当な契約のように思います。

半導体メーカーからしたら、ウェハメーカーに「今、長期契約しないと今後はウェハを卸せるかわからない」って言われたら契約するしかないでしょう。このような長期契約が上手なところというと、個人的には信越化学のイメージがあります。以下、信越化学の状況も見てみます。

 

競合の信越化学は?

信越化学といえばキャッシュリッチでリーマンショックでも配当実施した銘柄です。また、信越化学のウェハでなければ作れないという製品があるほどに技術力も高いです。
信越化学もウェハ生産能力増強のために設備投資があることが考えられます。ではSUMCO同様に資金調達は公募増資なのか?というと、財務はかなり良い状態ですので違い方法になることもありそうに思います。

下記、財務指標をSUMCOと比べてみます。有利子負債自己資本比率(自己資本に対する、利息がある借金の割合)が1%以下です。借金はほとんどない状態です。設備投資するにしても、SUMCOよりは既存株主に配慮した資金調達になるのでは?と思っています。

信越化学 財務指標
・自己資本比率:83.21%
・有利子負債自己資本比率:0.99%

SUMCO 財務指標
・自己資本比率:53.10%
・有利子負債自己資本比率:47.46%

 

信越化学の株価位置

日足でボリンジャーバンド(25日移動平均±3σ)、RSI、ストキャスティクスを示しています。

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9/3(金)の菅首相退陣表明以降、大きく上げた分を戻しました。RSIは80オーバーから35まで下がり過熱感が取れた印象です。ストキャスティクスは20以下で、もう少しでゴールデンクロスしそうな感じです。来週以降、上がってくるのか値動きに注目しています。

 

まとめ

SUMCO
・生産能力増強が評価されていそう
・8月安値目処に下値限定的?

信越化学
・株価の過熱感は取れた印象
・設備投資あってもSUMCOより既存株主に配慮してくれそう

今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。
※当ブログでは個別銘柄についての記載がありますが投資やその他の行動を勧誘、推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。