
半導体製造装置の来年以降の見通し
前々回の記事で、2027年以降もさらに業績が伸びるのか確認したいと考えていましたが、SCREENホールディングスと東京エレクトロンの決算発表と質疑応答から手掛かりが掴めたように思いました。個人的には前工程製造装置市場の来年以降の伸びに期待できそうと解釈しています。また、装置メーカーの売上が生産能力に律速されないか?という内容の質問がいくつかあり、アナリストの中にはそのような可能性を意識している様子もうかがえました。以下、質疑応答の内容を見ていきます。
SCREEN 質疑応答(一部抜粋)
Q5
通期ガイダンス(業績予想)について、3Q、4Qで更に売上アップサイドの可能性があった場合、キャパシティは対応可能か?また、もし増収がある場合、もう少し利益の増加もあるのでは?
A5
3Q、4Qの上振れ可能性はあるが、今期売上の生産計画がほぼ見えているので、大幅アップという訳にはいかないだろう。
利益に関しては、更なるキャパシティの確保のために利益の一部を投資に回す必要もあり、開発・設備増強も計画していることをご理解いただきたい
➡️「生産キャパシティの問題があるため、仮に需要が増えたとしても取りきれない」と解釈。
Q8
中国WFE市場の見方は?
A8
中国でもAI関連半導体の投資が必要となっており、当社の得意分野である先端半導体向けの投資が増えている。汎用半導体向けの製造装置は中国国産メーカーが台頭しているが、先端半導体向け投資が伸長しており当社に有利な状況。中国WFE市場全体も伸びると見ている。
➡️ 中国系でSCREENの競合だと、洗浄装置に強いACMリサーチあたりだと思います。SCREENが有利といっても競合がシェアをどのくらい伸ばしているという感覚なのか?というのを直近の中国向け売上の変化を踏まえて質問して欲しかったですね。
その他、回答からの抜粋
メモリーのお客様の投資意欲は強く、納入前倒し要求があり、多少キャパシティを上回る程度CY2027後半にメモリー中心に投資計画が多数発表
SCREEN 質疑応答の所感
生産キャパシティの問題
更なる装置需要があっても、装置メーカー側の生産能力律速で伸びきれないのでは?という質問があり、会社側より強気シナリオを想定しているアナリストもいるように感じました。
中国勢の競合としての脅威
中国系の装置メーカーだとACMリサーチが洗浄装置に強く、中国での洗浄装置シェアをそれなりに持っているようにも思います。WorldwideではSCREENが大きなシェアを持ちますが、中国メモリメーカーなどが設備投資するなら…と考えると、今後の中国市場でのSCREENのシェアが変化してこないのかが気になります。
メモリメーカーの投資意欲が強い
メモリ向け投資が旺盛ということで、メモリ向けが強い装置メーカーの方がより恩恵を受けられそうな印象を持ちました。また、メモリメーカーが増産というのはメモリの利益率がどうなるのかも気になります。SCREENはメモリよりファウンドリが強いイメージですので、よりメモリ向けに強い東京エレクトロンや、メモリ投資の恩恵を受けやすい装置構成であるKOKUSAI ELECTRICの業績見通しが気になります。KOKUSAIの1Q決算発表は8月6日14時予定とまだですが、既に東京エレクトロンが1Q決算を発表済みですので、続いては東京エレクトロンについて見ていきます。
各社メモリ(DRAM+NAND)比率
SCREEN
26年3月期: 16%
27年1Q:32%
東京エレクトロン
26年3月期: 41%
27年1Q:43%
KOKUSAI ELECTRIC
26年3月期: 48%(新基準)
27年1Q:8月6日発表予定
東京エレクトロン 質疑応答(一部抜粋)
Q1
WFE市場の見通しについて、CY2026:$150B 以上、CY2027:$190B 以上に更新されたが、アプリケーション別の成長率を教えてほしい。
A1
CY2025 のロジック/ファウンドリ:メモリの比率は、65%:35%。CY2026 は、60%:40%。本的には Agentic AI に半導体市場が牽引されており、先端投資が活況。HBM・GPU のみならず CPU・NAND の需要も拡大している。
Q12
資本市場では、WFE市場の見通しに関して、CY2027 に$250B、CY2028 に$300B に達するという見方もある。この規模の需要に対して、例えば、半導体メーカーから 2~3 年先までの装置購入のコミットメントやフォーキャストの提示があれば、TEL は装置の供給は可能なのか?
A12
当社の場合は、約 2 年程度の、顧客の投資計画を提供いただいている。日本国内に構築しているサプライチェーンとともに、着実に準備を進めることができるのが当社の強みと考えている。$300B の市場規模に対応できる生産能力が今すぐにあるとは言えないが、そのような状況にも対応できるように、宮城を中心にスマートファブ化を進め、生産性の向上に取り組んでいる。
Q13
CY2027 夏に竣工予定の宮城生産革新センターの稼働前後で生産キャパシティはどの程度変化するのか教えてほしい。
A13
最終的には、現状と比べて3倍程度の生産能力を確保する計画。昨今の市場動向にあわせて、キャパシティの最大化を加速させていきたい。
Q14
FY2027 の塗布現像装置の売上が前期比で 50%成長と非常に強気な見通しになっている。一方で、塗布現像装置と接続される露光装置の市場の成長率と比較すると、TELの売上成長率が大幅に上回っている。露光装置市場の成長率を大きく上回る成長を実現できる理由を教えてほしい。
A14
当社の塗布現像装置は、露光装置と比較し、光源の種類よりも、販売台数が売上に与える影響が大きい。FY2027 においては、EUV向けなど最先端のみならず、液浸・KrF・パッケージング向けなど幅広い需要が期待でき、売上が大きく伸びる想定。また、露光装置と塗布現像装置の納入・売上計上タイミングには多少のずれがある可能性もある。
東京エレクトロン 質疑応答の所感
WFE市場予想を上方修正
東京エレクトロン側だけでなく、アナリスト側もかなり強気な印象を受けました。今後の、更なる上方修正があるのか気になります。
生産キャパシティの問題
生産キャパシティは高そうであり今後更に増強されていく計画なので、大幅な需要増に対応する姿勢がうかがえます。
メモリ向け、先端プロセス向けが強い
SCREENの見解と同様であり、装置市場でのコンセンサスの様子。
塗布現像装置がかなり強い
最先端プロセス向け以外でも伸びるという予想なので、幅広い製品群での需要回復を示唆しているように思います。それを踏まえた私の考えとしては、半導体製品も価格でなく「数量」が伸びそうなので半導体材料や後工程装置・部材の需要も高まりそうかなと思いました。
まとめ
・WFE市場予想が上方修正され、アナリスト側もかなり強気な印象
➡️生産能力増強が課題となるメーカーも出てきそう。
今後、WFE市場予想が更に上方修正されるかも?
・汎用半導体向けの製造装置は中国国産メーカーが台頭
➡️中国勢の得意な工程を手掛けるところは影響が出てくるかも?
・メモリ向け投資が強そう
➡️メモリ向け、先端プロセス向けが強い装置メーカーの方が恩恵ありそう。
➡️メモリメーカーの利益率がどうなるのか気になる。
今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。
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