
週末、半導体が弱かったが…
6月26日(金)はマイクロン、サンディスクの株価は大きく下落しました。それでもまだマイクロン決算発表前よりは高い株価位置なので、これが決算前よりズルズル下がるという展開でなければ上げた反動かな?くらいかと思いますが、そうでないなら…という心構えを持ちつつ週明けの反応を見守りたい気持ちです。
メモリメーカーは、業績が良いと多くの人に認知されたこともあって株価の動きは激しくなっていると思いますが、「AI向け半導体製品の需要が高い」ということに変わりはない状況だと考えています。ですので、今後も半導体関連株に注目したいと思います。
その中でも、メモリメーカーほど派手ではなくても「半導体材料」というカテゴリーに注目したいと思います。今後メモリ価格が崩れるとなったシナリオを考えても、それは増産によるのであればメモリ向け「半導体材料」にはポジティブなのでは?と考えました。
そういった意味では製造装置も同様ですが、サイクル的には装置売上ピーク→材料売上ピークとなるので、装置よりも少し先を見ての話となります。
今回は半導体材料としてシリコンウェハ、レジスト関連なども手掛ける信越化学について考えてみました。これから通期予想が出たら、良くも悪くも株価が動くかも?という思惑もあります。
信越化学の業績について
先期(2026年3月期)は経常利益7,083億円でした。今期(2027年3月期)の通期予想は会社側は発表しておらず、例年通りだと次回1Q決算発表(7月24日予定)に出ると考えます。
今期の経常利益について、市場コンセンサスは前期比+20%程度となっている様子です。数字を見るとなかなか高い期待を織り込んでいるように見えそうです。
現状、信越化学の利益の大部分を支えているのは電子材料(2026年3月期 営業利益の54%)です。電子材料セグメントにはシリコンウェハ、レジスト、マスクブランクスなどが含まれますが、主力はシリコンウェハと考えます。
信越化学はシリコンウェハのシェアトップで、特に先端プロセス向けではかなり強いポジションにいると推定します。先端プロセスを用いるAI向け製品が活況なのは明らかですが、だからといって信越化学も大幅増益!という単純な話にならないかも、ということには注意しておきたいです。
信越化学のウェハ需要としてはTSMCなどの最先端ロジック向けの他、DRAM、NAND、その他の汎用品まであると考えます。付加価値が高そうな(利益率が高そうな)製品向けについて見るとすると、TSMCやメモリメーカーの生産状況が非常に重要と考えます。
TSMCのウェハ出荷枚数
TSMCは四半期ごとのウェハ出荷枚数(12インチ換算)を公表しており、それをグラフにしたものがこちらとなります。
3Q23以降、ウェハ出荷枚数は多少落ち込む時期があるにしても増加傾向です。巨額の設備投資が続いていること、2nmプロセス量産などで今後もこの傾向が続くと推定します。ちなみに1Q26(26年1-3月)は前年同期比で+28%という伸びになっており、先端プロセス向け半導体材料としてはポジティブな内容と考えます。
マイクロン決算について
先週発表があったマイクロンの決算は非常に強い内容でした。HBMは2027年分までほぼ完売状態であり、AI向け需要がかなり強いことがわかります。DRAM、NAND価格も大きく上昇しており、とんでもない利益率になっています。ただし、それが直ちに大幅増産に繋がるかというと難しい気がします。汎用品はかつてのメモリサイクルで大変な目にあっているので、利益率を重視して下記のような戦略を取るというイメージのように思います。
・HBM向けDRAMは大幅増産
・サーバーDRAMは増産
・汎用品DRAMは小幅増産
・NANDは慎重な増産
信越化学のようなシリコンウェハを手掛けるメーカーの業績に重要なのはメモリ価格の動向ではなく、ウェハ投入量が増えるか否かとなります。メモリメーカーは増産方向と考えますが、HBM向け以外の増産には慎重なように思います。ただしHBM向けのような先端プロセス&大きなダイサイズでは歩留を出すのも大変だと推定すると多めにインプットする必要があるので、製品数量の伸びより少しウェハ数量が伸びると考えます。
メモリ向けウェハ数量が20%程度増えるか?というと難しい気がしていますが、メモリ同様にウェハも引き合いが多く品薄なので値上げします!ということになればウェハメーカーの利益は伸びそうと考えます。昔そういうことがあったので、ありそうに思いますがどうなるでしょうか。特に信越化学は価格交渉力が強いイメージがありますし(個人の感想です)。
SKハイニックス、サムスンについて
メモリメーカーとしてSKハイニックス、サムスンの増産姿勢もかなり重要と考えます。6月26日の夕方、SKハイニックスとサムスンが韓国内で半導体工場を新設する見通しというニュースがありました。韓国政府が29日(月)に発表する予定とのことなので、週明けに内容をチェックしたいと思います。さすがに今期中にどうこうという話ではないでしょうが、増産に対する姿勢が見えてくれば半導体材料にもポジティブと考えます。
TSMCのウェハ出荷枚数(26年1-3月:前年比+28%)から歩留も考慮してウェハ数量+30%程度以上、メモリ向け数量が+10%程度なら、長期契約の価格改定もありそうとするとウェハについては前期比+20%というのはそれほど難易度が高くないのかも?と思いました。
ただ、信越化学については塩ビ事業がどうなるかも見る必要がありそうです。
塩ビ事業はどうなるのか
信越化学の塩ビは、米国住宅の状況による部分が大きいと考えます。現状は米住宅ローン金利の高止まり、住宅着工件数の低迷というので厳しそうな状況と思います。結局はイラン情勢が落ち着いて原油価格が下がってインフレ抑制的になれば…という期待はありますが。米国住宅建設ETFを見ると回復気味のようにも思えるので、かなり厳しかった先期よりは今期の方がマシになるだろうという見方が多いのかなとは思います。
コンセンサスに対してどうなのか?
シリコンウェハに関しては良さそうに考えましたが、コンセンサスを超えるには下記(1)〜(4)のような条件が必要になってくると考えます。どの条件も難しくないような気はしていますが、ガイダンスに慎重な信越化学が1Q決算で強気な通期予想を出してくるのかというのは別問題かなと。
(1) TSMC量産拡大
(2) HBM増産
(3) 汎用DRAM、NAND増産
(4) 円安維持
(5) イラン情勢沈静化
ガイダンスが弱いという理由で株価が下がるような展開があれば、その時の株価位置次第ではチャンスになるかもしれないので決算発表内容と株価反応には注目したいと思います。
株価位置について
週足チャートを見てみます。13週、26週、52週移動平均線を示しています。
移動平均線は 13週 > 26週 > 52週 となっており、中長期の上昇トレンドは崩れていないように見えることから基本的には上昇トレンドでの押し目狙いを考えており、ひとまずの押し目としては26週移動平均線あたりを目安にしたいと思っています。
信越化学はメモリメーカーのように派手な存在ではありませんが、それらの製造に必要な材料を手掛ける企業です。よくAI向け半導体がツルハシと言われたりしますが、市場参加者がツルハシ銘柄に飽きた頃にツルハシの材料メーカーとして注目されるときが来るのを待ってみても良いかな、なんて。
半導体サイクルの恩恵を受けながら米国の景気循環にも備えられるという意味では一粒で二度おいしいかなと思ったりします。逆に一粒で二度まずい、という展開はやめて欲しいですけど…。
今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。
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