
半導体製造装置にポジティブな話?
最近の半導体関連株については、メモリ関連株のボラティリティの高さであったり、中国AIのKimi K3の登場で再びAIショックがあるかも?と何かとネガティブな話題が盛りだくさんの印象です。
そのような中で、半導体製造装置についてはポジティブに捉えられそうな話が出ました。短期的には「半導体関連」という括りで下落に巻き込まれることもあるでしょうが、個人的には「長期的な目線で考える半導体製造装置の株価ピークはこれまでよりも後ろにシフトする可能性がある」と思いました。その理由は、新たに出てきた下記の情報によるものです。
・TSMCが設備投資額を増額
・SEMIが世界半導体製造装置市場予測を上方修正
半導体製造装置銘柄の株価というと、東京エレクトロンやSCREENホールディングスなど既に大きく上昇しており、そこから7月17日には大きく下げました。ASMLやTSMCの決算内容が良好でも株価がイマイチなこともあって「好決算でも材料出尽くしで下落するのではないか」という不安が蔓延っている…そんな雰囲気を感じます。
目先の株価はメモリ株や中国AIを材料にボラティリティが高くなりそうですが、これからどのような材料を手掛かりに半導体製造装置銘柄の株価ピークを警戒して売買を判断していくのか?ということを考えてみました。
2027年以降が重要
特に半導体関連のようなシクリカル株の株価は「今の業績が良いか」よりも「今後も成長するのか」が重要だと考えます。株価は半年から1年程度先を織り込むと言われたりしますが、半導体関連も1年くらい先まで織り込んでいく印象があります。
ピークの後ろ倒し、即ち更なる株価上昇には「2027年以降もさらに業績が伸びる」ことが必要になると考えますが、この実現性をどのような材料で判断するかを整理していきます。
SEMI予想の更なる上方修正あるか?
SEMI予想の300mm Fab Outlook, 2Q26によると、300mmウェハ向け製造装置の投資額は2029年まで伸び続けていますが、前年比成長率(Change Rate)は2026年がピークで2028年にひとまずのボトムとなっています。
これを見ると成長鈍化と言われて株価も2026年がピークとなるかも?というのを考えていました。ただしTSMCのコメント「今後数年間にわたり高水準の設備投資を継続する」というのが、やがてSEMIの2027年以降の設備投資額を大きく上方修正させるのではないか?という期待を産みそうに思います。SEMI予想では2026年と2027年の成長率は4%程度の差と見られますが、この程度の差なら2027年の見通しが上方修正されると2026年と同等以上の成長率になることも現実的な範囲だと思いました。ただし2026年が伸び過ぎると、それだけ2027年のハードルが上がることには注意したいです。
SEMI予想ではこれまでも成長率のピーク位置が変わるような修正がされたことがあります。例えば2024年のSEMI予想では2025年が成長率ピークでしたが、TSMCの巨額設備投資もあり2026年は2025年比で大きくプラス成長に修正されています。
ただし、次回SEMI予想(3Q26 Update)が出るのはまだ先なので、まずは直近の半導体製造装置銘柄の決算内容でSEMI予想が変わりそうなのかを見たいと考えます。
販売高、決算で上方修正有無を確認
これから決算発表する半導体製造装置銘柄が中間業績や通期業績予想を上方修正して市場予想を超えるようであれば、2027年以降の上方修正への期待感は高まるかもしれません。TSMCだけでなく、メモリ各社の増産や、中国メーカーの生産能力向上という上振れシナリオを、会社コメントなどで裏付けられるでしょうか。
逆に言うと、半導体製造装置銘柄の業績予想に上方修正がなく、会社コメントもインパクトがないと、半導体製造装置の株価は既にピークを…?というくらい先行きが怪しくなるかもしれません。
半導体製造装置の強弱をみるために、まず7月は以下をチェックしたいと思います。
(1) SEAJ 日本製半導体製造装置6月販売高(7月21日)
・販売高が高い伸びを維持しているか?
各社の上方修正の可能性を探りたいです。
(2) ディスコ決算(7月23日)
・Q2(7-9月期)の業績予想がどうなるか?
特にHBM関連需要が継続しそうか気になります。
(3) SCREEN決算(7月28日)
・通期業績予想の上方修正あるか?
・現状の会社側予想は下期偏重だが、更に下期の伸びが大きくなるか?
・上方修正があった場合、先端プロセス向けによるものか?
ここは通期予想を出していますので、通期上方修正の有無が最も重要だと考えます。上方修正があっても中国レガシー向け起因だと今後の伸びが弱そうなので、先端プロセス向けが伸びる予想なのか見ておきたいです。
通期上方修正が無いとなると、単純に保守的なだけなのか?本当に実需的に見直しがないのか?経営陣のコメントで判断になりそうですが、かなり厳しい展開になる気がします。
(4) 東京エレクトロン決算(7月30日)
・Q2業績予想を上方修正するか?
・上方修正があった場合、中国レガシー向け以外によるものか?
東京エレクトロンは半期の業績見通しを示す方針になったので、今回はQ2までの予想となりインパクトが足りない…ということもありそうです(通期予想はQ2決算発表時だと決算短信に記載されています)。ただし質疑応答でのコメント次第と思うので、内容をチェックしたいと思います。アナリストの皆さんには、ぜひ来年以降の引き合いについての感触を引き出す質問をして欲しいと期待したいです。
決算で株価が下がったら
SCREENの通期業績予想にコンセンサスを超えるような上方修正があっても半導体製造装置関連の株価が下がるという場合なら、さほど悲観しなくても良いと思っています。業績はこれからも伸びると考えられそうな状況になれば目先のテクニカルな株価下落にビビリ過ぎる必要もないかなと。
ただし、上方修正が無くて株価下落となると…既ににピークを過ぎた可能性も否めないくらいに厳しそうな気がします。
メモリ向け投資の中身を見ておきたい
心配事のひとつとしては、メモリ向けの引き合いがやたら強くなった場合についてです。ここで重要なのは投資の中身だと思います。
HBMの増産は強いAI需要を示すので、この増産は2027年以降のピーク後ろ倒しを裏付けるポジティブな材料と思います。
一方、汎用メモリ向けの大幅な増産は警戒したいです。利益率が上がり過ぎた汎用メモリ市場で 「誰か」がシェアを取りに来たら、各社の増産競争が始まり、シリコンサイクルでの株価クラッシュという数多繰り返されてきたことが現実になるかもしれません。
まとめ
TSMC設備投資増額やSEMI修正により、半導体製造装置は株価ピークの後ろ倒し、即ち上昇の長期化があるかもしれない。
2027年の成長が2026年同等以上になるかがポイントになりそう。
7月後半の主要各社の決算で「通期上方修正」と「先端向け需要」が出るかを見極める。
汎用メモリ向けの過度な増産競争が始まると、シリコンサイクルの終焉あるかも。
今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。
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