半導体関連が大幅下落!セクターローテーションもそろそろ…?

半導体株が大幅下落!

半導体関連、特に製造装置関連が売り込まれて株価は大きく下落しました。では半導体相場が終わったか?というと私はそう考えてはいません。ファンダメンタルズ要素を重視しないセクターローテーションによる一時的な下落で、むしろ良い押し目と考えています。ただ、思ったよりも短期間で深いところまで下げたな…という印象はありますが。

以下、なぜそのように考えたのかについて記載してみました。

 

3ヶ月前の展開との相似

3ヶ月前にあった、ASML前四半期決算以降の展開に良く似ていると思っています。なお、このときのSOX指数はASML決算翌週の月曜日から上昇基調となっています。

4/17(水) ASML決算
 →内容良くても株価下落

4/18(木) TSMC決算
 →内容良くても株価下落

4/19(金) 米国OpEx
 → SOX指数 -4.12%

4/22(月)
 → SOX指数 +1.72%

4/23(火)
 → SOX指数  +2.21%
  スローストキャス買いシグナル
  以降は上昇基調

OpEx(SQ)に向けて、上げていた半導体セクターが利確されて、下落したところを更に売り込まれて、翌週は過熱感がとれたのか上昇に転じたという印象でした。

では今回はどうでしょうか?

7/17(水) ASML決算
→ガイダンスやや弱い程度で
 株価大幅下落

7/18(木) TSMC決算
→内容良くても株価下落

7/19(金) 米国OpEx
→ SOX指数 -3.11%

4月の方が下げが少しキツイ感じもしますが、同様の展開だとすると来週あたりに反発するかもしれません。

ここまでちょっとアノマリーっぽい話でしたが、次に他セクターの動向を見てみます。

 

セクターローテーション

例えば米国住宅建設ETFの ITB (iShares米国住宅建設ETF)などは大きく上げています。日足を見るとスローストキャスティクスの売りシグナル(StochSE)が出ているくらいの上昇です。共和党の政策に住宅初回購入者に税優遇などあるので、大統領選挙を意識してのトレードと考えます。

また、共和党といえばエネルギーということで、エネルギーETF(XLE, VDEなど)も直近上昇しています。スローストキャスティクスの売りシグナル(StochSE)は出ていませんが、買われ過ぎ水準の80を超えてから下向きになりそうで、週明け続落ならば売りシグナルが出るかもしれません。

ということで半導体セクター売って他セクターを買うという動向が見られました。いわゆるセクターローテションが行われていたと言えそうです。

市場からマネーが抜けているわけではなく、上げたセクターが売られて、下げたセクターが買われただけではないでしょうか。

ASML決算後に大きく下落が始まりましたが、これは決算内容を重視した結果ではなく、早いこと利確したいというきっかけ程度かとも思います。年初から株価は2倍近くになってポートフォリオを圧迫していても、上昇が続いていて売るに売れなかったのかなと。

そうすると、今後はどうなるか?

上げたセクターが売られて、下げたセクター(半導体)が買われる、と。

前述4月の動きも、そういうことだったように思います。

具体的な話でもない中国向け規制の話がASML決算前に出たりして、この下落は半導体相場の終わりの始まりだという意見もあるかと思いますが…前工程(ウェハプロセス)製造装置の投資額の変化を見るとまだまだ半導体相場はこれからだと考えています。

 

前工程製造装置の投資額とSOX指数の関係

下図は前工程製造装置の投資額変化率(前年比)とSOX指数の変化率です。

棒グラフで示す投資額変化率が伸び続けるとSOX指数は前年比プラスとなる傾向があります。この投資額変化率が小さくなるとプラスでもSOX指数が大幅下落となっています(2018年、2022年)

SEMIによれば、投資額変化率は今年マイナスからプラスになり、来年は大幅プラスの見込みです。2020年と同様の状況と考えます。今後はHBM関連でのDRAM、先端ロジック、NAND向けの投資額が増加することが想定されています。本当に中国向けが規制されても投資額は続伸かなと。

これはWorld Wideでの投資額なので、装置単価がとても高いASMLが今年の売上が前年同等とすると、ASML以外のメーカー装置の売上増加が投資額の伸びを結構強めに引っ張ることが想定されているのではないでしょうか。続いては日本の半導体製造装置売上の月次変化を見てみます。

 

日本製半導体製造装置売上は月次で続伸中

SEAJ発表の日本製半導体製造装置売上(3ヶ月移動平均)をグラフにしてみました。これは前工程製造装置からテスターまで幅広く含まれます。なお月によっては半分くらい東京エレクトロンの売上が占めるくらい、東京エレクトロンの売上比率が大きめです。

2023年10月から続伸中で、2024年3月から大きめに伸びています。6月度の発表は7/23(火)予定ですが、これを見ると4-6月の売上げが前四半期を超えてくるのは堅そうです。日本の半導体製造装置の4-6月の決算に期待したいと思います。

なお、東京エレクトロンは前回決算で25H1売上は24H2と同等と予想していました。 SCREENは25H1売上が24H2を下回る予想でしたが…ここのあたりのアップデートがあるのか?決算発表の見どころと考えています。

ちなみにグラフは用意していませんが、SEMIによるとテスターの伸びは前工程製造装置よりも大きく2024年に+7.4%、2025年に+30%と予測されています。アドバンテストにも期待できそうかな、と。

セクターローテーションでは業績は重要視されていないと先に述べましたが、それが落ち着いたときには決算内容は重要視されると思います。そして、そのタイミングは意外と近い将来かもしれません。

これからの決算シーズン、しっかりと内容見ていこういかなと。

 

今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。

 

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