アドバンテスト決算内容
今期は増収増益予想(売上+7.9%、税引前利益+13.9%)という見通しが出ましたが、市場コンセンサスに対して大幅に下という内容でした。AI向けが伸びるものの、自動車・産業向けが厳しいという見込みです。
今年2月に同じような内容を、SEMI(国際半導体製造装置材料協会) も発表していました。
SEMI 2月レポート内容の概要
・半導体需要は順調に回復、全体として今年(2024年)は成長
・ファブ稼働率は現時点では低いが、2024年が進むにつれて改善見込み
・足元で自動車市場と産業市場は減速
・AIはテクノロジーがクラウドからエッジ(オンデバイスAI)に移行するにつれ、最先端半導体の成長を大きく促進するであろう
自動車・産業が厳しめでAI向けが伸びるという点で、市場の見方は一致しており信憑性は高そうです。
ではテスター含めた装置関連は厳しいのか?というと上記SEMI予想にあるように「2024年が進むにつれて改善見込み」というので、年後半から伸びるであろうと考えられます。SEMIは、300mmウェハ 設備投資額の前年比を以下と予想しています。
300mmウェハ 設備投資額の前年比
・2023年 +4%
・2024年 +1%(予想)
・2025年 +20%(予想)
これらを踏まえると、2024年1〜3月期は回復傾向にあるメモリ以外では半導体製造装置もまだ弱めかな?という印象です。
一方でHBM関連などAI向け高性能メモリに強いところは伸びそうとも思います。AI投資の伸びは、先日決算発表があったアルファベット(Google)、マイクロソフトのコメントからもうかがえます。
米国決算を見てもAI投資は増えそう
米国の大どころの決算を見ても、AI関連の投資は増えそうです。
アルファベット(Google)
4/25(木) 24Q1決算発表
クラウド・コンピューティング部門の成長により、市場予想以上の売上高と利益
グーグルの1-3月期設備投資は120億ドルで、大部分をサーバーやデータセンターなどの技術インフラへの投資が占めた
四半期設備投資額が年間を通じて同程度かこれを上回る見通し
マイクロソフト
4/25(木) 24Q3決算発表
クラウドやAI向け商品の需要により、市場予想以上の売上と利益
設備投資が1-3月の140億ドルから「大幅に」増加すると予想
来年度の設備投資額も前年度を上回るとの見通し
また今後クラウドだけでなく、スマホやPCに搭載されたAI(オンデバイスAI)が登場すると大きなインパクトがありそうです。米国調査会社のIDCは、2024年はAIがスマホやPCに搭載され(オンデバイスAI)、買い替えを促すことで半導体市場は大きく成長すると見ているようです。
設備投資の動きとSOX指数の関係
半導体製造装置の設備投資額の前年比と、SOX指数には関係性があると考えています。上段はSOX指数、下段に300mmウェハ 設備投資額(ライン:前年比、エリア:金額)を示します。
投資額の前年比が下がり始めた年
→ SOX指数は下がり始める
例:2018年、2022年
投資額の前年比が下がりきった年
→ SOX指数は上がり始める
例:2019年、2023年
つまり、赤いラインが下がり始めた年〜上昇してピークを迎える年までの期間、SOX指数は上昇傾向にありそうです。そう考えると、SOX指数は2023年から2025年まで上昇傾向になるでしょうか。この期間は四半期決算で株価が下げても、良い押し目になるのでは?という気もしています。
アドバンテストが決算後に下げても?
アドバンテストに話を戻しますが、ここもSOX指数とは関連性があると考えています。下図は日足でアドバンテストとSOX指数(オレンジ色のライン)を比較したものです。アドバンテストは決算日(Eマーク)の後にSOX指数に対してオーバー、アンダーがあるとはいえ、概ね同様な値動きと見ています。ここからSOX指数が上がるなら、やがて追いつくような気がします。
次に、決算後に下げた場合どのくらいが目安になるか、というのをフィボナッチリトレースメントで考えてみました。よく言われる61.8%押しが5,000円付近となっています。ちょうどキリがよい付近ということもあって下値の目安として意識されるかもしれません。損切りラインをキリよく5,000円にしている人達が多いなら、そこで売りが終わるかな?とも。RSIも売られ過ぎ水準の30付近の35.5なので下値余地は小さめとなれるでしょうか。なんにせよ、週明けの米国がどうなるか次第とも言えそうですが。
今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。
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