来年の半導体市場について考えた

なんだかんだでSOX指数は底堅い?

前回記事にて、「SOX指数は200日移動平均線との乖離率-5%もいかないところでの反発に期待」と書きましたが、今のところSOX指数は底堅い印象です。12/13(金)終値では200日移動平均線の上まで回復しました。SOX指数にはAI関連ど真ん中銘柄が含まれているので、なんだかんだで今年は強かった印象です(まだ今年終わっていませんけど)。

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ただし、その他の半導体関連は製造装置関連も含めて弱くなっていますが来年はどうなりそうか?と考えてみました。

 

WSTSの205年予測

WSTS(世界半導体市場統計)が、12/3(火)に世界半導体市場予測(〜2025年)を発表しましたので見ていきます。

AI向けが来年も伸びる
2024年の世界半導体市場は、下図に示すようにマイナス成長となった2023年から回復となりました。これはAI向けが大きく成長したためです。AI関連が含まれるTotal IC(Analog, Micro, Logic, Memory)が大きく伸びています。Total ICは来年も+12.3%の成長が予測されています。

AI向け以外は来年から伸びる
先ほどのグラフからTotal ICを抜いたグラフが下図となります。これを見るとTotal IC以外は2024年がボトムという予測になっています。2025年は前年比でTotal Discrete +5.8%, Optoelectronics +3.8%, Sensor +7.0%と増加する見込みです。これらはICと比較して単価が安いので金額ベースだと比較的に小規模ですが、数量が増えるであろうという点が半導体材料の需要増加につながるのか気になります。

世界半導体市場予測
・2024年:AI向けプラス、それ以外マイナス成長
・2025年:AI向けも、それ以外もプラス成長

ということで…

AI関連以外の半導体関連株、特に大きめに値を落としていることろが来年は伸びるかな?なんて思っています。半導体製造装置シリコンウェハ関係など大きめに株価下落しているところとか、来年どうなるかなと。AI関連は、成長率が2024年→2025年で鈍化と言われたりしないか注意しておきたいと考えています。

 

半導体製造装置

米国の対中規制に日本製の製造装置は対象外という記事があったこともあり、米国よりも日本の半導体製造装置関連に注目しています。下図はSEMI(国際半導体製造装置材料協会)予測の300mmウェハ用装置 投資額変化率(前年比)と、半導体製造装置代表格の東京エレクトロンの株価変化率(前年比)を合わせたグラフです。2023年、2024年と投資額の変化率は小さめでしたが、2025年は大きめになる見込みです。また、東京エレクトロン株価は投資額の変化率が大きめに伸びる年はプラスになる傾向が見られるので、2025年はプラスになれるのか注目しています。2017年や2021年と同様になれるでしょうか?(2024年は2020年相当と考えると、ちょっと傾向が変わったようにも見えますが…)

 

東京エレクトロン
月足で縦軸対数、移動平均線は12ヶ月24ヶ月48ヶ月としています。以降の銘柄も同様の表示内容です。48ヶ月移動平均線がサポートのように見えるので、今後の上昇に期待しています。

SCREENホールディングス
前工程製造装置として挙げてみました。ここはメモリ以外の分野が比較的に強いので、今後のAI関連(HBM)以外の伸びに期待したいと思っています。

ディスコ
グラインダー、ダイサーと後工程の部類ですが全体的なウェハ生産枚数が増えれば需要が高まりそうと考えてピックアップしました。どの製品群のウェハでも裏面研削とダイシングはしますので。24ヶ月移動平均線がサポートっぽいようにも見えます。

 

シリコンウェハ

続いてはシリコンウェハです。顧客(デバイスメーカー)は長期契約としてシリコンウェハをウェハメーカーから買い続けていることもあり、在庫を相当抱えている様子です。300mmウェハ 10-12月以降の見通しについて、各社の決算発表資料やQ&Aでのコメントを見てみます。また株価の月足も示しておきます。

信越化学
回復はAI向けが主、その他分野はまだ重い
長期契約がベースだが顧客は在庫調整のために購入調整を希望

 

SUMCO
AI需要が強い一方、車載・民生・産業向けは弱く、全体としては緩やかな回復を想定

両社とも、AI向け以外が回復しないと厳しそうなコメントでした。株価も下落気味で、特にSUMCOは償却費が重いこともあるのか大幅下落しています。

ただしシリコンウェハの総出荷面積(≒ウェハ枚数)は、SEMI予測によると下図のように2024年をボトムとして回復見込みです。また、前述のように来年はAI以外も伸びる見込みなので、これから顧客在庫は捌けていく方向だと思います。

まとめ

・AI以外の半導体製品は来年需要回復しそう

・半導体製造装置売上は来年大きめに伸びそう

・シリコンウェハは来年から需要回復しそう

以上より、来年はAI以外の半導体製品需要回復を考慮して、半導体製造装置、シリコンウェハなどの半導体材料で株価が下がっているところが回復できるのか?注目していきたいと考えています。

 

今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。

 

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