雇用統計無事通過?半導体市況は底堅そうで期待してみる

雇用統計通過してまずは株高

10/6(金)発表の米国雇用統計ですが、雇用者数が予想よりも大幅上振れということで発表直後は金利上昇、株価下落でしたが、米国市場が始まってしばらくすると金利低下、株価上昇となりました。正規雇用者が減ってパートが増えていること、平均時給も下げているのでむしろインフレ落ち着く方向なのでは?と市場が解釈しているように思います。

米国雇用統計 結果
非農業部門雇用者数:33.6万人(予想:16.6万人)
・フルタイム:-2.2万人
・パートタイム:+15.1万人
失業率:3.8% (前回 3.8%)
平均時給(前年比):4.2% (前回 4.3%)

米国経済指標の他にも、半導体市況が底堅そうな決算や売上報告が出てきたので来週も株高の流れが続くのか注目しています。

 

メモリ市況は底打ちの様子

マイクロン テクノロジーの決算より、下図は四半期ごとの売上実績及び予想です。大きく反転するタイミングはまだのようですが、緩やかな回復傾向が見られます。

 

TSMC月次売上も底堅い?

10/6(金)に発表された9月売上は前年同期比は-13.4%、8月比で減少となりましたが、3〜6月が底だったように見えます。

月次売上 (NT$ billion)
1月:200.05
2月:163.174
3月:145.408
4月:147.900
5月:176.537
6月:156.404
7月:177.616
8月:188.686
9月:180.430

 

ディスコの出荷額が堅調

ウェハ裏面研削(ウェハを薄くする)、ダイシング(ウェハをサイの目切り:dicing してチップにする)工程といったどの製品群にも必要な工程を担う装置のメーカーです。10/5(木)に個別売上及び出荷額の速報が出て、7-9月の出荷額は前四半期、前年同期比で増えているという結果でした。

2023年7-9月期の出荷額
・前四半期比+16.9%
・前年同期比+9.0%

 

大阪有機化学の四半期売上が続伸

半導体製造工程で用いるフォトレジスト材料など手掛けます。10/6(金)に2023年3Q決算を発表しました。売上は前年同期比では減少のままですが、直近の市況を見るために四半期ごとの売上推移に注目してみます。売上は2023年1Qに大きく落ち込んだ後、2四半期連続で増加しており底打ち感がありそうです。

四半期ごとの売上
 22年3Q(6-8月):28.5億円
 22年4Q(9-11月):25.3億円
 23年1Q(12-2月):21.1億円
 23年2Q(3-5月):24.6億円
 23年3Q(6-8月):27.0億円

ここの販売先は、産業革新投資機構(JIC)にTOBされるJSR、フォトレジスト向け素材の生産能力を2倍にするために工場建設することがニュースになった三菱ケミカルなどがあります。関連ニュースを見ているとフォトレジスト需要は伸びそうな印象を受けました。

 

世界半導体売上が増加中

SIA(米国半導体工業会)が10/4(水)に8月の世界半導体売上を発表しました。前年同期比では-6.8%ですが、直近6ヶ月連続で増加となっています。これは市場需要が回復しつつある傾向だと認識しています。

現状では前年同期比でマイナスですが、株を買うという視点では先行できるチャンスと考えています。このまま回復が進んで前年同期比プラスになった頃には、そこから後追いで買ってくれる人達がたくさん出てくる(株価が上がる)かな、と。そのころに金利がどこまで上がるかにも注意しないとですが。

 

金利動向には注意したいが…

高い金利水準なので、リスク資産の株式よりも米国債という流れがあるでしょうが、

「半導体関連株の益利回り >> 金利」と評価されれば半導体関連株が買われるということになります。

金利側としては、利上げはあってもあと一回?インフレ鈍化が見えてくれば利上げ停止もありそうです。CMEのFedWatchツールによれば、次回FOMCでは利上げなしとの見方が72.9%となっています。

一方、半導体関連株側としては2023年→2024年で高成長が期待されます。2023年7月時点でのSEMI(国際半導体製造装置材料協会)の予測によれば、半導体製造装置市場は2023年→2024年で+14.8%と大きく成長する見込みです。特にDRAM、NAND向け前工程製造装置が伸びると予測されています。

半導体関連株にとって金利との戦いは、今のところ分が悪い勝負でもないように思っています。

 

SOX指数は週間で上昇

10月1週のSOX指数は先週比+1.19%と上昇しました。下図は週足で26週、52週移動平均線と下段に26週移動平均線乖離率を示しています。

26週、52週移動平均線は上向きをキープで上昇トレンド継続と考えています。26週移動平均線との乖離が調整されたような印象です。

続いて日足ですが、MACDの買いシグナル(MacdLE+2)が出てからMACDヒストグラム続伸中となっています。

なお、SOX指数は10月に上昇する傾向がみられ、今後の動向に注目しています。

ynark.hatenablog.com

 

東京エレクトロン

東京エレクトロンの日足を示します。下段のオレンジ色のラインチャートはSOX指数です。東京エレクトロンはSOX指数とそれなりに相関が見られますが、日足MACDはまだゴールデンクロス(GC)しそうではありません。ここからSOX指数同様にMACDがGCして買いシグナルが出るのか注目しています。

また、先に「特にDRAM、NAND向け前工程製造装置が伸びると予測」と書きましたが、東京エレクトロンはメモリ向け比率が高い前工程製造装置メーカーです。比較的メモリ向けが少ないSCREENホールディングスとは異なり、メモリ市況悪化影響を大きめに受けましたが、裏を返すとここからの回復が期待できそうに思います。一年前(2022年11月10日)の決算発表時にも「2024年はビッグイヤーになる」とコメントしており、今後の売上動向に注目したいと考えています。

今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。

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