三益半導体の決算見ると、実はシリコンウェハ好調?

記載銘柄:三益半導体、信越化学、SUMCO

 

三益半導体は好決算
→ シリコンウェハ好調?

三益半導体は、信越化学グループで信越化学のシリコンウェハの研磨加工をしています。ここの通期見通し(〜2023年5月)は、今後のシリコンウェハ売れ行きがどうかのヒントになりそうです。9/30(金)に三益半導体が発表した、1Q(6-8月期)決算と通期業績予想を確認しておきます。

1Q結果
経常利益:コンセンサス+46.3%
半導体事業部は300mmウェハを中心に生産が好調、前年同四半期比で売上+23.4%セグメント利益+96.2%

通期予想
通期経常利益予想:コンセンサス+23.6%
2023年5月までの見通しが好調というのも既に大手デバイスメーカーが多めに長期契約を結んでいる影響があるような気がします。ここは信越化学グループということもあり通期予想は結構堅めで、2009年度以降で通期業績が予想より低くなったのは2015年度だけです。※ちなみに信越化学は2009年度以降、一度も通期予想を下回ったことはありません。

株価は上昇
決算を受けて、現在の株価は決算発表前から+16.7%と大きく伸びています。

 

信越化学

ウェハは売上好調?
冒頭に述べたように三益半導体は信越化学のシリコンウェハの研磨加工をしているので、三益半導体が売上好調ということは信越化学が多く発注しており、それだけ需要があると推察します。

信越化学は1Q決算説明会の質疑応答にて「半導体製品(デバイス)の調整があっても、ウェハの大きな需要減は見込んでいない」という旨の説明がありましたが、まさにその通りの展開となっているかもしれません。

信越化学 1Q決算説明会 質疑応答からの抜粋
民生品、PC、サーバーについてはデバイスの在庫調整や設備投資の調整はあると見ている。

一方ウエハーは能力増が限定的で在庫は積み増しできていない。
したがって、デバイスとウエハーでは動きが違っていると見ており、現時点(2022年7月27日)において、特に300mmウエハーの大きな需要減は見込んでいない。

円安恩恵も大きそう
信越化学が2022年7月以降の業績予想に用いている想定為替レートは1$=125円です。7-9月期のドル円実績が138.6円程度と考えると、10.9%の差があります。シリコンウェハ以外の米国向け塩ビ市況が落ち込んでも為替でそれなりにカバーできそうな気もします。

株価は低迷中
現状、PER=9.47まで売り込まれています。今後の業績が悪くなるというなら分かりますが、次の決算発表(10月末頃?)で株価の答え合わせができることになりそうです。

 

SUMCO

信越化学のシリコンウェハが好調なら、シリコンウェハ専業のSUMCOも好調と考えます。SUMCOは8/4時点でメモリ市況の見込みをそれほどシビアに見ていない様子ですが、ウェハ市況は直ちにメモリ市況の影響を受けないような気がします。ウェハは長期契約を結ばれています(SUMCOはスポットでも攻めている印象ありますが)。つまり、デバイスメーカーのウェハ投入量や在庫は大きめの波がありますが、ウェハ購入量はそれほど波が大きくありません。年単位で契約内容の数量を、契約した価格で買うことになります。

円安も業績を押し上げ
SUMCOは為替による営業利益の影響を決算説明会資料で示していますので、昨今の円安でどのくらい営業利益が変わるのか見てみます。

・7-9月期ドル円:138.6円程度
・3Q想定為替レート:1$=135円
・為替感応度:年間営業利益+13億円/1円安

四半期あたりの営業利益影響は…
(138.6-135)×13億円/4四半期
=11.7億円/四半期

会社予想の経常利益に上乗せると…
779億円+11.7億=790.7億円
→ 3Q経常利益はコンセンサス+4.5%程度の計算

SUMCOは次四半期の業績予想のみ開示するので、次回3Q決算で通期予想が出ます。現状の為替レートに近い値で業績予想してくる傾向があるので、4Q予想を140円程度として数字を作ってくると通期営業利益はコンセンサスを超えてくるかもしれません。

SUMCOも株価低迷中
PER=10.28まで売られており、予想配当利回り=3.90%となっています。次回決算発表は11/8(火)のようですが、決算受けてどう動くでしょうか。まずは先行する信越化学の決算影響を見たいところです。

今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。
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