半導体が需要減?TSMC決算みるとそうでもないような…?

記載銘柄:TSMC <NYSE: TSM>、信越化学 <4063>、SCREENホールディングス <7735>、東京エレクトロン <8035>

半導体関連株が売り込まれている

DRAMスポット価格が下落、半導体需要ピークアウト説で半導体関連株が大きく下げました。半導体関連は景気敏感株で、株価は業績よりも景気に左右される傾向が強いと言われます。米国のインフレ、対策としての利上げで景気後退…というシナリオが想定される中、結構な逆風を浴びているところです。実際にDRAMは2021年に大型投資していることもあり今後の需給は暫く緩みそうですが、半導体といっても色々な製品群(DRAM、Flash、ロジック、パワー、画像センサーなど)があります。今回はDRAM需給が強めにクローズアップされているところに市場のスキ、言い換えれば投資チャンスがないのか?考えてみたいと思います。

 

TSMCの決算内容

7/14(木)に世界最大のファウンドリであるTSMCの2Q決算発表、3Qガイダンスがでました。

減速が懸念されていた3Q売上見通しはコンセンサス以上、設備投資額に変更なし(ただし下限値に近くになりそう)となっています。

2Q実績
⭕️純利益:2,370億台湾ドル
(コンセンサス:2,191.3億台湾ドル)
⭕️売上:181.6億ドル
(会社予想:176〜182億ドル)

3Qガイダンス
⭕️売上:198〜206億ドル
 (コンセンサス:192.1億ドル)

設備投資額
⭕️従来ガイダンス:400〜440億ドル

変更なし。ただし下限(400億ドル)近辺になる見込み。
機器納入に時間がかかるため一部を来年に回す計画とのこと。

設備投資額が下限近辺になりそうとはいえ、装置の供給問題であり半導体の需要減ではないということで、ひとまず半導体需要ピークアウト説を跳ね除けた形になっています。

株価は決算受けて上昇、日足で見ると20日移動平均線を上回りました。

 

週足で見ると、RSIが30以下から上抜けており、TradingView内蔵のRSIストラテジーで買いシグナル(RsiLE:RSI Long Entry)が出ています。ここから上昇に転じるのか注目しています。

 

直近の決算銘柄を確認

ここから国内外ともに半導体関連銘柄の決算がありますが、内容みて各製品群の需給を確認していきたいと考えています。なお、海外銘柄の日程は日本時間で示しています。

7/20(水)
・ASML (EUV露光装置)

7/21(木)
・ディスコ (ダイサー、グラインダー)

7/26(火)
・信越ポリマー(ウェハ容器)

7/27(水)
・Teradyne (テスター)
・信越化学 (ウェハ、レジストなど)
・SCREENホールディングス
 (製造装置)
・東京エレクトロンデバイス
 (半導体商社)

7/28(木)
・Lam Research (製造装置)
・アドバンテスト (テスター)
・ルネサスエレクトロニクス
 (車載マイコン他)

7/29(金)
・Apple (SoC)
・Intel (CPU)
・KLA (検査装置)
・新光電気工業 (リードフレーム)
・ソニーグループ (画像センサー)

今回は国内銘柄から、以前から注目している信越化学の他、前工程製造装置関連のSCREENホールディングス、東京エレクトロンを見ていきます。

 

信越化学(7/27決算)

チャートは下記の点が良さそうです。

・5-25日移動平均線ゴールデンクロス
 (ただし25日移動平均線は下向き)

・終値で25日移動平均線超え

・MACDが0ライン下ゴールデンクロス
 (買いシグナル)

ここからの見どころとして下記2点を考えています。

(1) 25日線が上向きになれる?
あと4日経つと大きく窓を開ける前(6/13〜6/16)の株価が25日移動平均線の計算に参照されなくなります。今の株価水準以上をキープできるならば、あと6営業日くらいで上向きになりそうです。

(2) 出来高極少の価格帯を超える?
「急落で買い向かったけど15,000割れまで食らったし、買値に戻ったら売ろう!」という考えの人たちの、やれやれ売りが上値を重くしそうな感じがします。何かポジティブ要因が出てこないと上値を抜けないかもしれません。

ただし、なんらかのポジティブ材料で16,300円くらいを勢いよく抜けられた場合は、17,100円くらいまで一気に窓埋めという展開もありそうに思います。この価格帯は直近6ヶ月で出来高が極めて少なく、上値は抑えられにくいかな?と思います。

 

ポジティブ材料が何かある?
現在わかっていること以外のポジティブ材料としてありえるものとしては例えば以下のような感じでしょうか。
・通期業績予想がコンセンサス以上
・自社株買い

通期業績予想は、例年通りなら7/27(水)の1Q決算発表のタイミングになります。自社株買いは4/27(水) [ 終値 17,465円 ] に出たばかりなので難しいかもしれません。ただ、期限は半年の設定だったのに6/20(月)の株価急落時に早くも使い切ったことと、現状株価が前回自社株買いを決定した時よりも下げている[現在 16,020円 ]ので、もしかしたら?期待していないだけに、自社株買いがあった場合のインパクトは大きいと思います。

ネガティブ材料を警戒
DRAM需要が緩和されてきたとか、米国住宅需要が減少してきたなどのネガティブ材料もあるので警戒したいと思います。信越化学は半導体材料を手掛けますが、住宅などに使われる塩ビの世界シェアトップでありむしろ塩ビの会社といえるので米国住宅着工件数をチェックします。なお、米国住宅着工件数は6月分が7/19(火) 21:30発表となります。

米国住宅着工件数
6月:7/19(火) 21:30発表
5月:154.9万件
4月:172.4万件
3月:179.3万件
2月:176.9万件
1月:163.8万件

 

SCREENホールディングス
(7/27決算)

半導体製造装置、特に枚様式洗浄装置を得意とするところです。ここの売上はファウンドリ向けが多く、構成比率は43%程度です。

洗浄装置で若干シェアを落としたと決算説明会でコメントありました。東京エレクトロンが洗浄装置のシェアを伸ばしたので、その影響と考えられます。

半導体製造装置の今期売上予想は前期比+16.5%となっています。TSMCの設備投資額が前年比+33%(300億ドル→400億ドル)ということを考えると控えめのような気もしますが、部材不足を考慮している様子です。決算発表は信越化学と同日の7/27(水)予定です。

チャートを見ると、信越化学ほど急激な下げではないにしてもジワリと下げてきました。オシレーター的にはそろそろ反転あるかも?という印象です。

 

MACD
買いシグナルあり
(0ライン下ゴールデンクロス)

RSI
買いシグナルあり
(30を上抜き)

モメンタム
買いシグナルまでもう少し
(0を上抜き)

なお、売買シグナルについては下記書籍を参考にしています。

 

東京エレクトロン
(8/8決算)

半導体製造装置の代表格銘柄です。韓国向け、DRAM向けの比率はSCREENよりも高めなのが心配ですが、今期のDRAM向けは先期比-19.4%としています。新収益基準の採用影響で先期と単純比較はできないかもしれませんが、DRAM減速は織り込み済みのようです。DRAMは2021年の設備投資が大きかったので反動があるのは想定済みだと思います。

決算発表は少し先で8/8(月)予定ですので、7/27(水)のSCREENホールディングスの決算内容や株価反応みてから売買を考えるのも良さそうです。

チャートはSCREENと同じような感じです。買いシグナルも出てきました。

MACD
買いシグナルあり
(0ライン下ゴールデンクロス)

RSI
買いシグナルあり
(30を上抜き)

モメンタム
買いシグナルあり
(0を上抜き)

 

FOMCで荒れる?

決算時期と重なり、7/26(火)〜7/27(水)にFOMCがあります。商品市況を見ると原油も穀物も6月以降は既に価格が落ちているのでインフレ落ち着いてきたという方向になりそうとは思いますが、荒れる展開も警戒しておきたいところです。

 

今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。
※当ブログでは個別銘柄についての記載がありますが投資やその他の行動を勧誘、推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。