記載銘柄:三益半導体、SUMCO、信越化学
三益半導体が決算発表
三益半導体が7/14(金)に2023年5月期(2022年度)の決算発表をしました。ここは信越化学のウェハ研磨加工、ウェハ再生などを手掛けます。今後の半導体関連、特にシリコンウェハ関連銘柄の業績がどうなのか?を考えるにあたって決算内容を見ておきます。
決算内容概要
・経常利益:110.01億円
(会社予想:110億円)
・今期見通し:開示なし
(例年1Q決算時に開示)
決算内容は会社予想通りでかなり精度高い結果でした。今期の通期見通しが無いのはいつも通りで、信越化学系は1Q決算発表時に併せて通期予想を出してくるのが通例となっています。
より半導体関連の結果にフォーカスするため、半導体事業部の売上を抜き出してみます。四半期ごとの売上グラフが下記です。
直近四半期(2023年3〜5月期)の売上が前四半期比-15%と大きめに落ち込んでいます。こうなると次四半期や今期(通期)がどうなるのか?ちょっと心配かも?という印象です。
ここで、2018年〜2019年頃のメモリ不況期(DRAM、NAND価格下落時期)の売上を見てみます。不況期を抜けても3四半期ほど売上減少しており、2019年度の本決算短信には「顧客在庫調整の影響を受けた」と書かれています。コロナショック以降の2020年1Qにて「ウェハ需要が底堅い」となっていますので、メモリ不況期を抜けてもシリコンウェハは顧客在庫が捌けるまで結構なタイムラグがあったことがわかります。
これを踏まえると、今回のメモリ不況期が終わってもシリコンウェハは顧客在庫が捌けるまで売上が厳しい展開あるのかな?と考えました。
シリコンウェハメーカーといえばSUMCOと信越化学ですが、これらがどのような今後の見通しを出してくるのか注目したいと思います。
SUMCO
最近は経済産業省から最大750億円の補助金を受けることがニュースとしてありました。決定前の補助金観測記事や、正式発表後の株価は直後は上に反応するものの伸びきれていない印象です。日足でチャートを見てみます。
補助金ニュースと株価反応
7/11(火)
・寄り前に補助金ニュースあり
直後に決定した事実はない(検討中)とのことで、株価は高寄りして上げるものの戻し気味となり、日足は長い上ヒゲとなっています。
7/14(金)
・午前に補助金決定とニュースあり
株価は直後に上昇するものの戻し気味となり、日足は長めの上ヒゲに。
先期営業利益が1,096.8億円程度に対して補助金750億円というとインパクトありそうに思いますが、新工場の供給開始が2029年と先の話でもありますし、足元の業績を警戒されているのかも知れません。補助金の件で株価が上がったところを利確されているような印象でした。
日足チャートでは、スローストキャスティクスで買いシグナル(StochLE)が発生しています。MACDもゴールデンクロスしはじめている様子ですが、週明けどうなるでしょうか。
8/8(火)の決算発表内容と株価反応をチェックしたいと思います。お盆休みで薄商いかも?という懸念もありそうです。
信越化学
7/27(木)に1Q決算発表予定で、例年はこのタイミングで通期予想が出ます。先期比で減収減益というのが大方の見方だと思いますが、どうなるでしょうか。ここはシリコンウェハよりも、米国向け塩ビの方が売上、利益ともに多いので、そちらの動向次第かもしれません。
以下、前回決算時の会社側コメントを抜粋してみました。
電子材料 (ウェハなど)
「半導体の前工程材料については、1月の説明会で触れた顧客からの数量調整の要請を双方にとって良い形でとりまとめた。 」
信越化学の営業力、交渉力は素晴らしく強いので(前職で経験)、「双方にとって良い形」というのは上手いことまとめてきた気がします。
「台湾のデバイス産業の3月の売上高や半導体大手のQ1決算は警戒レベルを上げる内容であり、注視している。」
どのくらい慎重に見積もってくるのか?コンセンサスに対してどうなるか注目です。
生活環境基盤材料 (塩ビなど)
「住宅着工が2、3月ともに1.4 百万戸強であったのはポジティブ。」
現在発表されている5月までの米国住宅着工件数を見てみます。
4月も140万件、5月については163万件と大きく伸びています。なお6月分は7/19(水)に発表予定です。会社側コメントから考えると、今のところ良い数字かと思います。4〜6月期は為替も円安に進んだこともポジティブなのでは?と思います。
株価位置
株価を見てみます。下図は日足チャートですが、7/14(金)にスローストキャスティクスで買いシグナル(StochLE)が発生しています。ここから上昇あるのか注目しています。
関連銘柄はチェックしておきたい
ある銘柄の決算内容から関連銘柄の決算内容について考えてみるというのは、投資にあたって有効な方法だと考えてますが、業界地図は業界ごとに銘柄が網羅されているので参考になると思います。最新版の2024年版が8/23に発売予定です。
今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。
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