【半導体】SUMCOが決算後にやたらと売られている?

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記載銘柄:SUMCO <3436>

半導体不足といわれる状況なのに、シリコンウェハメーカーのSUMCOが決算後に大きく売られています。現状株価についてや、なぜ売られているのか考えてみました。

 

株価チャート

まずは株価の位置です。ボリンジャーバンド(25日移動平均、±3σ)とRSIを示しています。決算前(8/5終値:2598円)から-12.5%程度と大きめの落ち込みです。2021年2月から8/11までに買った人は含み損という状況で、制度信用期日の6ヶ月前付近の値まで落ちています。

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テクニカル的には、ボリンジャーバンドに沿って下がる懸念はありますが、RSI=28.7と売られ過ぎ目安となる30以下の水準にあります。なお、上記チャートには収まっていない範囲ですが、RSI 30割れは2020年3月のコロナショック以来と久し振りです。
ボリンジャーバンドやRSIの簡単な説明は下記書籍が参考になります。

 

 

決算資料を読むと

業績実績と予想
数字の詳細は省いて、シンプルにコンセンサスとの比較を見てみます。

・2Q実績:IFISコンセンサス +1.2%
・3Q見通し:IFISコンセンサス -2.2%
SUMCOは翌四半期の予想を開示する方針なので通期予想がないのは想定通り

配当
・中間:17円 (前回予想+1円)
・期末:未定

業績実績・予想と配当は、ほぼコンセンサス通りかと思います。

コメント内容など
半導体製品の材料となるシリコンウェハは需給タイトな状況が続いているようです。グリーンフィールド投資(工場新設)の検討に着手したと決算資料に記載していました。SUMCOの株価が最近下げているのは、設備投資に向けての増資が懸念されているのかも知れません(2015年は増資して設備投資に充てたことあり)。ただの決算プレイかも知れませんけど…。

なお、決算資料にはスポット価格は値上げで決着しつつあるとあります。長期契約は来年分の契約タイミングが年後半かと思いますが、そこで更に値上げが通ってから工場新設に着手の流れかなと思います。値上げが通れば増資も必要ないかもしれません。

 

SUMCO まとめ

・業績、配当は想定内容に近い
・増資懸念で株価下げたかも
・次回長期契約も値上げあれば安心
 (4Qくらいに判明?)

業績がネガティブで株価が下げているというわけでもなさそうなので、シリコンウェハの値上げ情報などを追いつつ、株価反転のタイミングを探ってみたいと思います。

 

関連銘柄への影響

以下、SUMCO以外についてですが他の半導体関連銘柄への影響を考えてみました。

ウェハ値上げの影響
200mm(直径)ウェハは値上げインパクトが大きめかも知れません。雑な言い方をすると200mmウェハは前世代の仕様で、ウェハメーカーが今更生産能力を増強することは難しいと思います。ただし200mmは車載用やパワー半導体などで現役の仕様です。というのは、車載品は簡単に仕様変更できずに10年以上の供給が要求されます。またパワー半導体などは特性面の問題で200mmから300mmへの変更が難しいということもあります。
半導体メーカーは製品のコストが上がり業績に影響があるかもしれません。

ウェハ不足の弊害
シリコンウェハが長期的に不足したときにあり得るのは、半導体メーカーが製造装置への投資に消極的になることです。というのは、かなり高額の製造装置を増設しても、ウェハがなければ仕掛ける製品がなく製造装置がムダになってしまうからです。こうなると使ってない装置の費用が製造コストに乗ってしまいます。ただ、現状は製造装置投資が抑制されるレベルではないと思います。来週は半導体製造装置の東京エレクトロン、米国ではアプライドマテリアルズの決算がありますので受注状況など見てみたいと思います。

国内・国外の関連銘柄調査には業界地図が便利です。

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