決算シーズン序盤で情報収集→関連銘柄を狙う Part 2
前回同様に決算発表済みの情報をもとに、これから決算発表を控える銘柄の中から好業績になっていそうな銘柄を考えていきます。
今回は鉄鋼に関連する銘柄です。鉄鋼の生産法は鉄鉱石からつくる高炉法と、鉄スクラップを原料にする電炉法などがありますが、本記事で注目するのは電炉法に関連する銘柄です。
セクター:鉄鋼(電炉)関連
先行銘柄 東京製鐵 <5423>[決算:4/23(金)済み]
鉄スクラップに黒鉛電極を使って電気の熱で溶かす、電炉メーカーです。
・経常損益が会社予想に対して+35%、コンセンサスを25.9%上回る
・自社株買い(1.8%相当)を発表
・4/26(月)の株価に注目。決算後のPTSでは 1,000円(東1終値908円)と+10.13%
前回の決算発表(1/22)にて、原材料の鉄スクラップが値上がりしているなどで業績予想を下方修正しました。ただし、今回の決算では鉄スクラップ価格が想定より値上がりしなかったこと、製品単価と数量は順調に伸びたとのことで業績上振れとなりました。なお、国内の鉄スクラップ価格は日本鉄リサイクル工業会がwebに示していて、1-3月期の鉄スクラップ価格は昨年12月より低くなっていることが決算前の時点でわかっていたのでコンセンサスも上がっているとは思いましたが、それ以上に業績改善していました。
電炉はCO2排出削減というテーマを持つ
鉄鋼でも高炉の場合は製造時に大量のCO2を排出します。高炉は鉄鉱石をコークス還元することで1トンの鉄をつくるのに2トンのCO2を排出しますが、電炉でのCO2排出は0.5トン程度と高炉の1/4といわれます。CO2排出低減が世界的に求められる現状では、高炉大手の日本製鉄などは水素を用いた製造方法などを研究したり、2030年時点で大型電炉を実用化するとコメントしています。
中国ではCO2排出を低減するため、鉄鋼需要が回復しているにも関わらず地方政府の指令で鉄鋼メーカーが高炉を止めたり生産量削減をしているとのことです。これは中国中央政府が2060年にCO2排出実質ゼロ目標を掲げていることが背景にあるようです。中国でも電炉化が進む可能性があります。
ただし、高炉法での製品と電炉法での製品は現状用途が異なるという点は注意したいところです。例えば自動車用の鉄鋼は電炉法ではなく高炉法でつくられた製品が用いられています。高性能な鉄鋼製品は高炉というようなイメージです。ただし、東京製鐵の鋼材Q and Aによれば、鋼材の品質は鋳造工程で作り込まれて精錬工程で調整されるもので、高炉法と電炉法の違いによるものでは無いと記載されていますので、将来的には電炉法での製品が高炉法と同じような用途に展開されることもあるかも知れません。会社四季報業界地図を参考にして電炉銘柄を挙げてみました。
テーマ:鉄鋼 (電炉)
・4/28(水) 合同製鐵 <5410>
・4/30(金) 共英製鋼 <5440>
テーマ:黒鉛電極(電炉での製造に用いる)
以下は、関連銘柄として電炉で用いる黒鉛電極を手がける銘柄です。
・5/10(月) 東海カーボン <5301>
・5/10(月) 日本カーボン <5302>
・5/13(木) 昭和電工 <4004>
黒鉛電極関連銘柄は2017〜2018年ごろに大相場となりました。中国が高値で大量に黒鉛電極を買っているとのことで、各社かなりの売上となり株価も大きく上がりました。黒鉛電極のシェアが高い昭和電工の週足チャートを見てみます。
提供元:TradingView
現状株価はピーク時の半分程度です。ピークをつけたころは黒鉛電極が活況でした。また以前のような黒鉛電極相場が来るのかはわかりませんが、移動平均線(13週, 26週, 52週)をみると綺麗にゴールデンクロスしていることがわかります。52週線も上向きになり、チャート的には上昇期待できそうな印象です。日立化成の買収発表以降は財務影響懸念されて株価低迷した時期もありましたが、コロナショック以前まで戻しています。日立化成の封入樹脂、CMPスラリーなどを取り込み半導体部材も幅広く手がけるようになった多くのテーマを持つ銘柄なので、黒鉛電極市況のみに株価反応するわけではありませんが注目していきたいと考えています。
今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。
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