信越化学、アドバンテストについて考えた

信越化学

10/27(金)に信越化学の2Q(7-9月)決算発表がありました。2Q進捗率は良いのですが、据え置きとなった通期見通しはコンセンサス以下となっています。

・2Q経常:進捗率56.3%
・通期見通し:据え置き

通期上方修正がないとはいえ会社の通期予想に対して2Q進捗率56%、通期コンセンサスに対してでも51.3%なので、無難な結果だと考えています。化学メーカーが厳しそうな中でも健闘している印象です。

ここの主力は生活環境基盤材料(塩ビ、苛性ソーダなど)、電子材料(ウェハ、レジスト、マスクブランクス、希土類磁石など)とありますが、ここではウェハについて見ていきます。今後の見通しについては後日公開されるであろう質疑応答の内容を見たいのですが、以下おさらいとして前回の質疑応答です。

前回(1Q)決算発表時の質疑応答おさらい

半導体ウェハの2Q(7-9月期)市場動向について
・300mmは在庫調整が一段と強化でマイナス見込み
・200mmは横並びから微減程度
・150mm以下は横ばい
・来年1月からは前年を上回っていくのではないか

信越化学の取引先でもある、ルネサスエレクトロニクスの決算発表が10/26(木)にありました。この決算発表資料に在庫について記載があったので見てみます。

ルネサス在庫増減要因
・7-9月:生産調整によるウェハ投入減
・10-12月見通し: 生産調整によるウェハ投入減

ルネサスは今年いっぱい生産調整の見通しとのことですので、まだウェハ需要の回復は先のようです。ここまでは信越化学の予想シナリオ通りかなと。

来年以降についての見通しが気になるところですが、在庫は捌ける方向にあるので需要回復時期が多少伸びても深刻な問題ではないと考えています。(半導体関連株は需要がピークを迎えそうなときに下がり始める傾向なので、そうでなければ良いかと)

 

信越化学 株価位置

決算が無難なら、今後の株価は中東情勢と米国金利、需給的な地合い次第かもしれませんが、テクニカルの切り口で見てみます。現状株価は200日移動平均線を割り込んだ後に戻したところです。このあたりでの反発の可能性について、日足で線形回帰チャネルを見てみました。

線形回帰チャネル パラメータ
・範囲:昨年安値2022年9月30日以降
・データ数(日数):266 
・参照値:終値

上記条件での相関係数R=0.9025

相関係数Rは-1〜1の値をとり、0から離れるほど相関が強いことを示します。目安は下記となります。

・0.5~0.7未満:相関がある
・0.7~0.9未満:強い相関
・0.9以上:非常に強い相関

R=0.9以上であり「2022年9月30日以降、日にちと株価に非常に強い関係性があった」と考えます。(「過去に強い関係性があった」ということなので、継続性の有無には注意)

中央の線が線形回帰、上下のラインはそれぞれ±2σを示しています。トレード手法としては、線形回帰ラインから離れたところからの戻りを狙うことになります。

今年の6月〜7月に+2σを超えたタイミングで売ると、結果的にナイストレードとなりました。現状は-2σを割りましたが、ここから戻す展開となるのか注目しています。

 

アドバンテスト決算発表 10/31

アドバンテストの決算発表が10/31(火)にありますが、半導体テスターとして競合するテラダインが先行して決算発表していますのでそちらを見てみます。

テラダイン  Q3(7-9月期)決算発表
Q3売上実績 $704M (予想 $684.5M)
× 23Q4ガイダンス $670M ±$30M (予想 $689.6M) 

Q3(7-9月)売上は前四半期比でプラスでしたが、Q4(10-12月)ガイダンスは弱めでレンジ上限に達したとしてもQ3以下の見込みです。

株価は決算発表(Eマーク)以降続落しています。

これを踏まえてアドバンテストについて考えてみます。アドバンテストのガイダンスでは、Q2(7-9月)売上はQ1(4-6月)以上になる見込みであり、これはテラダインの内容を踏まえると達成するかもしれません。

ただし、より重要なのはQ3(10-12月)ガイダンスと通期予想と考えており、テラダインのように控えめになるのか注目です。ここの経営陣は世界情勢という空気を読んできそうで、保守的なガイダンスになりそうな気が…以前に米中対立が激化したときみたいな。

アドバンテスト株価位置

アドバンテストはNVIDIA(NVDA)の顧客というのがあるためか、株価の動きは競合テラダイン(TER)よりもNVIDIAに近いように見えます。アドバンテストのNVIDIA向け売上比率は、Bloombergの記事によると1%未満とありましたが…。もちろん、今後テスティングの重要性は高まると考えますし、ソシオネクストで話題になったチップレットなどのテストも複雑になりそうなので、長期的に伸びしろはあると考えています。SEMI(国際半導体製造装置材料協会)の予想では、テスター市場規模は来年+8%での成長見込みです。この市場成長率に対してアドバンテストがアウトパフォームするとしても、株価は先行しすぎと懸念されるかもしれません。ただし、7月高値から調整が進んでおり200日移動平均線に近づいてきました。以下、先の信越化学同様に線形回帰チャネルを見てみます。

線形回帰チャネル パラメータ
・範囲:昨年安値2022年9月30日以降
・データ数(日数):266
・参照値:終値

上記条件での相関係数R=0.8909

中央の線が線形回帰、上下のラインはそれぞれ±2σを示しています。R=0.89で「日にちと株価に強い相関があった」と考えます。

株価はチャネル下限(-2σ)付近であり、ここから中央に戻る方向になるかもしれません。下げた場合も200日移動平均線がサポートできるのかも見所だと思います。

 

ただし地合いは継続して悪い

中東情勢も悪化しそうですし、米国金利は高いしと地合いの悪さは継続しています。テクニカルで反発ありそうな水準とはいえ、下落が続く場合は中途半端に下げたところで買うと損失となりますので慎重であることに越したことはないと思います。

 

半導体関連は来年は堅い?

今年はまだ波乱があるかもしれませんが、半導体関連は来年の回復は堅いと見ています。ここまでの7-9月期の決算発表では前工程製造装置関連は底堅い(米国ラムリサーチなど)印象ですが、完成品に近い工程関連(リードフレームやパッケージ関連、テスター、製品メーカー)はまだ厳しい印象です。前工程部材関連(ウェハ、レジスト材料など)が横ばいからやや回復傾向っぽいので、10-12月期決算発表でのガイダンスは良いところが増えるかなと思いました。ということで、半導体関連は買うにしても長期戦に耐えられれば問題なさそうかと。

 

まとめ

信越化学の決算はサプライズなしで無難に通過?

アドバンテストのガイダンスが保守的かも?

信越化学、アドバンテストとも株価水準は反発ありそうな水準?

地合いは悪い(中東情勢の悪化、米国高金利)

今は下げたところをレバ掛けて買うのはリスク高そう

半導体関連は来年回復しそう?

 

今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。

 

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