半導体市況は底打ち感あっても、地合いは厳しそう

決算シーズン + 厳しい地合 

半導体関連も決算が出てきましたが、なんといっても中東情勢と米国金利が高いということで、株にとっては厳しい地合いとなりそうです。そんな中、下記銘柄の決算内容を見ると半導体市況は底打ちかな、という印象を持ちました。それぞれ見ていきます。

決算発表日程
10/18(水)
 ・ASML

10/19(木)
 ・ラムリサーチ (LRCX)
 ・TSMC
・ ディスコ

 

ディスコ

ウェハを裏面から削って薄くしたり、チップにする工程の装置を手掛けるメーカーです。
これらの工程は、プロセス世代に関係なく必要ですので、ディスコの出荷額推移は半導体製品全体の市況を示すと考えます。下図はディスコの四半期ごとの出荷額を示したグラフです。22Q4、23Q1と減少していましたが、23Q2は前四半期比プラスとなりました。決算資料からはパワー半導体が強い需要と説明がありました。パワー半導体は成熟世代プロセスになります。

 

ASML

最先端のEUV露光装置が主力のオランダのメーカーです。
四半期売上は減少、売上げの48%が中国向けで台湾と韓国向けか減少、EUV比率も下がり続けています。先端プロセスは伸びていない様子で、TSMCなどのファウンドリ向けが減ったと考えられます。次にTSMCを見てみます。

 

TSMC (TSM)

世界最大の台湾のファウンドリです。CEOコメントとして「来年は当社の健全な成長が期待できる」「当社は来年、業界全体を上回る」とありました。来年のTSMCの業績が期待できるとともに、設備投資の増加も期待(= 装置メーカーの業績にも期待)できそうに思います。今年の設備投資額は市場が予想していた減額にはならなかったものの、会社予想幅の下限となる320億ドルになるとのことです。仮に2024年にW/Wでの増加率と同様に伸びたら、最高額となった2022年を超える見込みです。

 

ラムリサーチ (LRCX)

米国の半導体製造装置メーカーで、ドライエッチング装置やCVD装置が強いです。
中国向けが多くなり前四半期比でプラスとなりました。ガイダンスのQ4売上中心値はコンセンサスよりわずかに上ですし、底打ち感があります。良さそうに思いましたが、決算発表翌日の株価は大きめに下落しました。中国向け規制が強化される中、中国比率が高いことが嫌気されたのでしょうか。露光関係はEUVに続いてArF液浸が規制されるのは予測されていましたが、ドライエッチング装置やCVD装置を更に規制というのは難しいように思いますけど…どうなるでしょう。

 

東京エレクトロン

通期業績修正のタイミング?
11/10(金)に中間決算発表となりますが、ここは中間決算発表時に通期業績を修正してきた前例があります(22年は下方修正、21年は上方修正)。中国向け、メモリ向けの回復が見えてきたなら上方修正もあるかな?なんて思っています。

 

中国向けが拡大?
前述のラムリサーチ決算内容同様に、中国向けがかなり伸びているかもしれません。前回24Q1の時点でかなり中国向けが増えていますただし、最近の中国向け規制強化をネタに市場からはネガティブに評価されることも考えられます。東京エレクトロンがシェア9割以上持つ主力製品のコータ・デベロッパー(レジスト塗布などの装置)は、規制対象がEUV用のみなので影響は限定的だと思いますが…市場反応はそんなの関係ない!ってことは当然のようにあるので。

 

高性能メモリ向けが伸びる?
メモリ市況の底打ちと、AIサーバの伸びから今後の見通しはポジティブになるかもしれません。前回決算では特にAIサーバーに組み込まれるHBM向け製造装置の引き合いが強いとのことでしたので、そのあたりの動向次第でしょうか。

個人的には、メモリ向け投資が相当抑制されてきたので直近で業績予想が修正されなくても、将来的にメモリ向けが大きく伸びるという見方をしています。

 

来週の決算発表予定

以下、半導体関連の決算発表予定です(日時は日本時間での予定)。アドバンテスト(10/31決算発表)の競合となる米国のテラダイン(TER)、信越化学の1日前にある信越ポリマーなど、関連する銘柄で先行するものを良く見ておきたいと考えています。 

10/25(水)
5:00 テキサス・インストゥルメンツ (米国 TXN)
19:00 テラダイン (米国 TER) ※修正

10/26(木)
5:00 KLA  (米国 KLAC)
6:00 テラダイン (米国 TER)
15:30 信越ポリマー (7970)
15時以降 イビデン (4062)

10/27(金)
5:00 Intel (米国 INTC)
15:00 信越化学 (4063)

 

そうは言っても地合い次第か

冒頭で述べたように地合いは厳しい状況が続きそうです。決算発表での業績見込みが良かろうと、売りが多数ならば株価は下がるので業績以外も状況を見ていこうと思います。引き続き、先週と同じく下記スタンスでいこうかと。「この中東情勢では株安になっても仕方ないと思いますので攻め過ぎないポジションで冷静に売買していきたいと思います。」具体的には、利益がのっている現物に対してつなぎ売り(信用売り)したりでリスクを抑えた対応していこうと思います。

ynark.hatenablog.com

今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。

 

※当ブログでは個別銘柄についての記載がある場合がありますが投資やその他の行動を勧誘、推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。