【今週決算】とある石油株のINPEX、ENEOSはコスモの急騰に続くか?

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記載銘柄:INPEX <1605>ENEOSホールディングス <5020>

4月〜6月期の決算発表も終盤です。今回の決算では、資源高の恩恵を受けた総合商社の株価が上がったり、石油元売りのコスモエネルギーの株価が決算後に急騰(+5%)しました。先週末は出光興産の決算発表があり、1Qで既に進捗率88%となっています。これらの決算内容から、関連・競合銘柄であり今週決算を迎えるINPEXとENEOSホールディングスについて見てみます。

 

INPEX【決算:8/10(火)】

INPEXは、石油・ガス開発の国内専業最大手で、日本政府が筆頭株主の銘柄です。12月期決算なので、今回は2Q決算となります。

 

INPEX 決算みどころ

下記、3点を考えてみます。

(1) 2Q経常利益は?会社予想:2010億円に対して?

(2) 通期予想の上方修正があるか?

(3) 増配あるか?

 

(1) 2Q経常利益は?

個人的にはドル円と原油価格で上振れしていると考えています。決算資料を読むと、会社側の想定しているドル円為替レートや原油価格がわかります。また、2021/2/12付の決算説明会資料にはドル円や原油価格がどのくらい変化したらどのくらい業績に影響するのか?という感応度も提示されています。これらから、市況影響のみで2Q経常利益がどのくらい上振れするか考えると、ざっと+67.5億円程度だと思います。 会社予想経常利益(2Q):2010億円に対して+3%強といったところでしょうか。ただし売上変化は考慮していませんので、売上が落ちていれば利益も下がります。

会社想定価格(2Q予想)
・為替(¥/$):108
・Brent原油($/B):60

 4月〜6月実績
・為替(¥/$):109.5
・Brent原油($/B):66程度
 

2021年2Q純利益への感応度
・為替(¥1/$ 円安):+5億円 
・Brent原油(+$1/B):+10億円 
※2021/2/12付の決算説明会資料より見積もり

(2) 通期予想の上方修正ある?

1Q決算の時点で、ドル円、原油価格が想定より変化したという理由で通期予想を上方修正しています。現状でも原油価格が想定より10%程度上昇していますので、上方修正があるか注目です。

 

(3) 増配あるか?

1Q決算時に増配発表しています。このとき下記コメントがありました。今回も業績上方修正あるなら増配もありそうです。「2018年度から 2022年度までの中期経営計画期間中、安定的な配当を基本とし、配当性向は30%以上として、業績の成 長に応じて段階的に株主還元を強化していくことを基本方針としております。」

 

ENEOSホールディングス【決算:8/13(金)】

ENEOSは石油元売り1位です。3月期決算なので、今回は1Q決算となります。ちなみに石油元売り2位:出光興産、3位:コスモエネルギーです。ENEOSや出光が、コスモの株価上昇影響を受けるか気にしていたのですが、今のところ大きく影響を受けていないようです。ただし、業績は同業と同様に好調ではないかと思っています。

 

ENEOS 決算みどころ

ENEOSは通期のみ業績予想を示しています。ここでは下記2点を考えてみます。

(1) 1Q経常利益は?IFISコンセンサス:1,193億円に対して?

(2) 通期予想の上方修正があるか?

 

(1) 1Q経常利益は?

競合はコンセンサスを大きく上回っていますので同様に上回るのではないかと思っています。

・コスモ:IFISコンセンサス+57%

・出光:IFISコンセンサスの2.23倍

1Qの会社予想が出ていないので上振れ加減がわかりませんが、IFISコンセンサス:1,193億円に対してどのような数字がでるか注目です。

 

(2) 通期予想の上方修正ある?

ENEOSもドル円と原油価格、銅価格の市況変動による営業利益影響が決算説明資料に示されています。現状ベースで通期の営業利益がどのくらい上振れするのか計算すると、ざっと+1126.7億円程度だと思います。市況影響が通期で現状のままという現実味がなさそうな仮定ですが、会社予想の1.5倍弱IFISコンセンサス+6%程度となりそうです。もちろん、これは通期の為替や原油、銅の市況を会社がどう読むかによって変わります。とはいえ、1Qが同業と同様に好調であれば通期上方修正もあるかもしれません。

会社想定価格
・為替(¥/$):105
・ドバイ原油($/B):60
・銅(¢/ポンド)4~6月:400

 4月〜6月実績
・為替(¥/$):109.5
・ドバイ原油($/B):66.9
・銅(¢/ポンド):440

2021年度(通期) 営業利益への感応度
・為替(¥5/$ 円安):+355億円 
・ドバイ原油(+$5/B):+440億円 
・銅(¢10/ポンド):+50億円 
(2021/5/12付 決算説明資料より)

会社予想経常利益(通期のみ開示)
・通期:2400億円
・通期で現状の仮定 +1126.7億円
 → 3526.7億円
・IFISコンセンサス:3320.8億円

 

関連・競合銘柄の決算チェックは大切

ある銘柄の決算内容や決算発表後の株価動向について、関連・競合銘柄を参考にするということは投資の上で大切なことだと考えています。関連・競合銘柄の調査などに重宝する「会社四季報 業界地図」の 2022年版(最新版)が8/26(木)に発売となります。各業界の関連・競合銘柄が国内、海外ともに網羅されていますので日本株の他、米国株投資にも役に立つと思います。

今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。

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