TSMCの決算から考える投資のヒント

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台湾大手ファウンドリのTSMCが4/15(木)に決算発表しました。この内容から注目してみたい銘柄を考えてみます。

 

TSMC決算 概略 

ポイント
・ 売上 1-3月期:$129.2億(前年同期比+25.4%)
・ 売上 4-6月期見込み:$129〜132億
・年間設備投資額:$280億 → $300億
・先端プロセス(5nm+7nm)売上比率:39% → 39%
  5nm売上比率:20% → 14%
  7nm売上比率:29% → 35%
・自動車向け売上比率:3% → 4%

ちなみに、TSMCは毎月10日(10日が休日の場合は前の営業日)に月次売上を発表していますので、売上については決算の4/15(木)時点で既出データとなっています。

1-3月期の売上は高水準で、4-6月期も大きく変わっていません。昨今の半導体不足で既に工場稼働率がフルになっていると考えられます。 

 

生産能力逼迫、巨額の設備投資

生産能力が逼迫しているようで、設備投資額を増額すると発表がありました。$300億って3兆円ちょっと…すごい金額です。3年間で$1000億を投資するというので、目先の設備投資額は大きいですが回収見込みは問題なしとの判断です。半導体市況についてかなり強気なことがわかります。

設備投資費用が莫大ですが、それはTSMCが成長するという意味ですので、私は長期的な目線で期待しています。

 

先端プロセス(5nm+7nm)が順調に伸びる

また、5nmプロセスが減って7nmプロセスが増えています。5nmはスマホで、7nmはHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング:CPU、GPUなど)と思います。売上全体が+25.4%(台湾ドルベースだと+16.7%)なので、スマホが減ったわけではないにしても伸びは鈍化したようです。対してHPC比率は+6%と伸びています。リモートワークでのパソコン需要もあったでしょうし、暗号資産(仮想通貨)が最近急騰しているので、マイニング用途が売れたのでしょうか?5/21(金)早朝にあるNVIDIAの決算で何かわかるかも知れません。

先端プロセス(5nm+7nm)という括りでは売上比率は前年同期比で同じになっています。

 

自動車向けが大幅に伸びる

自動車向けが伸びています。自動車向け半導体が不足しているというニュースが連日出ていますので、ある程度は想定されていたかと思いますが、売上比率+1%というのは売上全体の伸びを考えると+30%以上という大きな伸びです。こうなると自動車向け半導体を手がけるルネサスエレクトロニクスも売上が立っていそうですが、主力工場の火災もあったので利益的には難しいところでしょうか。半導体を使った製品を自動車メーカーに収めている銘柄の決算が気になるところです。

 

TSMC決算まとめ
・生産は高水準
・設備投資額は巨額だが、長期目線で業績上がりそう
・先端プロセス(5nm+7nm)の売上げが伸びている
・自動車向けが大きく伸びている。

注目してみたい銘柄

以上を踏まえて下記銘柄に注目していきたいと思います。

海外銘は <市場:ティッカー> を記載しています。

 

 TSMC  <NYSE:TSM>

 

シリコンウェハ

 信越化学工業  <4063>

 SUMCO <3436>

 

フォトリソグラフィーに用いるフォトレジスト

 東京応化工業 <4186>

 JSR <4185>

 信越化学工業 <4063> 

 

CMPスラリー

 昭和電工  <4004>

 

 製造装置

 東京エレクトロン <8035>

 SCREENホールディングス <7735>

 Applied Materials <NASDAQ:AMAT>

 Lam Research <NASDAQ:LRCX>

 KLA Corporation <NASDAQ:KLAC>

 ASML Holding <NASDAQ:ASML>

 

CPU, GPU

 AMDNASDAQAMD

 NVIDIANASDAQ:NVDA>

 

スマホ

 AppleNASDAQ:AAPL>

 QualcommNASDAQ:QCOM>

 

自動車向け製品

 デンソー <6902>

 

※当ブログでは個別銘柄についての記載がありますが投資やその他の行動を勧誘、推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。

 

 

ご参考:半導体用語について

フォトリソグラフィ

フォトリソグラフィーというのは回路などのパターンを形成する工程の一部で、ざっとの説明ですがこんな感じです。

 

ウェハ表面に感光剤(フォトレジスト)を塗る

  ↓

 フォトマスクに描いたパターンをパシャっと露光する

  ↓

レジストに光があたった部分が抜け、フォトマスクのパターンが転写される

(ポジ型の場合。ネガ型だと光があたらない部分が抜ける。主流はポジ型)

  ↓

レジストが抜けたところを削り取る(エッチング)して回路などのパターン形成

 

CMP

CMPというのは、化学的・機械的研磨を意味しています。Chemical Mechanical Polishing の頭文字です。

96層構造のメモリなんてありますが、層を重ねるためには表面を平らにする必要があります。

CMPに使う研磨剤がCMPスラリーです。昭和電工の子会社、昭和電工マテリアルズ(旧 日立化成)のシェアが高いです。