記載銘柄:日本製鉄 <5401>
CB発行で売られた?
日本製鉄がユーロ円CB(転換社債)発行の発表後に、鉄鋼大手が大きく売られました。CBによる株式希薄化懸念での売りなんてニュースありましたが、この内容での売りというのも個人的にはどうかな?と考えています。なぜそう考えたのかについて記載しました。また中国の大手不動産デベロッパーである恒大がデフォルト(債務不履行)になりそうな件で休み明けに東京市場も下がる懸念ありますので、合わせて記載しました。
ところでCBって何?
株式に換えることができる社債(CB:Convertible Bond)です。
・債券として持っていれば金利を受け取ったり満期で償還される
(利息がもらえたり、満期で買った額より高くなったり)
・転換価格で株式にできる
(株価が転換価格を上回れば、株式に転換して利益にできる)
・株式転換で発行株数が増える
(株式価値が希薄化する)
なお、今回はゼロクーポン債です。クーポン(金利)を受け取るのではなく、額面金額より割引きされた額で債券購入して、償還日に額面金額で受け取れるというものです。次にCBの内容をみてみます。
今回のCB内容
下記の2種類となっています。
(1) 転換価格:2,884円
償還期限:2024/10/4
(2) 転換価格:3,022円
償還期限:2026/10/5
・転換価格で全て行使されると、潜在株式比率=11.02%
現在株価(9/17(金)終値)は2,153円と、転換価格は現在値よりかなり上での設定です。
わざわざ転換価格より下値で株式に換えることは無いので、希薄化懸念で売りが出たという説明は違和感があります。今回のCBは既存株主に相当配慮した内容だと思います。
確かにカーボンニュートラルに向けて鉄鋼業は大きな投資が必要になると思いますが、日本製鉄の橋本社長は21年本決算時(5/7)に「カーボンニュートラルへの投資のために株主還元を見直すことは考えていない」というコメントをしています。このような姿勢が表れているCB内容ではないでしょうか。
ということは日本製鉄が下げたところは買い?となりそうですが、本件とは全くの別件で直近下げそうな気配があります。それが中国の恒大が今にもデフォルトとなりそうなことです。
中国の恒大がヤバイと話題に
中国の不動産バブルはとんでもなく、中国政府も以前から警告していましたが、大手不動産デベロッパーの恒大集団が今にもデフォルトとなりそうです。色々とニュースが出ていますので、詳細は下記のような記事をご参考ください。
中国・恒大、資金繰り難一段と 負債合計33兆円: 日本経済新聞 https://t.co/PKWi7j9DMt
— YN-ARK (@merry_oss) 2021年9月19日
これが原因で市場全体に売りがでるかもしれません。大手ファンドが恒大の債券を保有しているようです。
アシュモアやブラックロック、中国恒大の債券を大量に保有 - Bloomberg https://t.co/KUjXsmWUll
— YN-ARK (@merry_oss) 2021年9月20日
また、建材関連などが売られることがあるかもしれません。鉄鋼関連も大きめに下げる展開があるか注意したいところです。ただし、日本製鉄の「2021年9月 当社経営の概況」資料を見ると中国市場は縮小傾向と見積もりしていますし、中国の不動産バブルの危険性は把握していると思います。個人的には週明けに更に下げたら拾ってみたいと考えています。9月に中間配当もありますし(権利付き最終日:9/28(火))。
今回は以上です。読んでいただき、ありがとうございました。
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